先日、格安スマホの概念的な部分からSIMロック解除の実例まで紹介しました。
読んで頂けた方は「格安でスマホを使うには格安SIMを使う必要がある」といった仕組みに関しては分かったかと思います。
とはいえ、「安かろう悪かろう」という言葉がある通り、何かしらのデメリットがあるのではないのかと感じている人も多いと思います。
今回は格安スマホのメリット・デメリットを踏まえつつ、格安スマホはどんな人におすすめできるか紹介していきます。
※格安スマホ(SIM)には「通話とインターネット(データ通信)の両方ができるプラン」と「インターネット(データ通信)のみができるプラン」がありますが、本記事では携帯大手三社との比較のため通話とインターネット(データ通信)の両方ができるプランに絞って比較をしていきます。
メリット
まずはメリットから紹介していきます。
- 月額料金が格安
- 通話プランおよびインターネット(データ)プランが豊富
正直、ほぼ「安い」以外のメリットはありません。
が、これがとにかく強烈。どの程度安いのか「通話プランの料金」と「インターネット(データプラン)の料金」それぞれを携帯大手三社(docomo、au、ソフトバンク)と比較していきたいと思います。
①通話プラン料金の比較
携帯大手三社 (docomo、au、ソフトバンク) |
格安SIM取り扱い各社 | |
無制限に 通話し放題のプラン |
2,700円(三社一律) | 1800円(もしもシークスなど)~ 2,380円(楽天モバイルなど) |
10分以内の通話なら 通話し放題のプラン |
設定なし | 830円(NifMo、IIJmioなど)~ 850円(OCNモバイルONEなど) |
5分以内の通話なら 通話し放題のプラン |
1,700円(三社一律) | 780円(DTI SIMなど)~ 850円(mineo、楽天モバイルなど) |
3分以内の通話なら 通話し放題のプラン |
設定なし | 600円(IIJmio)~ 650円(BIGLOBE SIMなど) |
月合計60分間まで 通話できるプラン |
設定なし | 650円(BIGLOBE SIMなど)~ 800円(U-mobileなど) |
月合計30分間まで 通話できるプラン |
設定なし | 840円(mineoなど) |
従量課金のプラン | 934円(au、ソフトバンク)~ 980円(docomo) |
0円 |
※どの通話プランも定められた時間を超えたら、従量課金制になります(通話プランにもよりますが概ね20円/30秒が多い)
②インターネット(データ通信)料金の比較
|
携帯大手三社 (docomo、au、ソフトバンク) |
格安SIM取り扱い各社 |
0.5GB | 設定なし | 1,130円(イオンモバイルなど)~ 1,400円(mineoなど) |
1GB | 2,900円(au,ソフトバンク) | 1,200円(LINEモバイルなど)~ 1,500円(mineoなど) |
2GB |
3,500円(三社一律)
|
1,380円(イオンモバイルなど) |
3GB | 4,200円(au) | 1,480円(DTI SIMなど)~ 1,800円(OCNモバイルONEなど) |
5GB | 5,000円(三社一律) | 1,910円(DMMmobileなど)~ 2,280円(mineoなど※6GB) |
7GB | 5,700円(au,ソフトバンク) ※通話プランを従量課金のものにした場合 |
2,300円(NifMoなど)~ 2,880円(LINEモバイルなど) |
10GB | 9,500円(docomo) ※家族で分け合えるプランの場合 |
2,800円(DTI SIMなど)~ 3,260円(IIJmioなど) |
15GB | 12,500円(docomo) ※家族で分け合えるプランの場合 |
3,980円(DMMmobileなど)~ 4,300円(DTI SIMなど) |
20GB | 6,000円(三社一律) | 4,980円(イオンモバイルなど)~ 5,550円(DTI SIMなど)) |
30GB | 8,000円(三社一律) | 6,980円(イオンモバイルなど)~ 7,450円(BIGLOBEなど) |
50GB | 16,000円(docomo) ※家族で分け合えるプランの場合 |
10,800円(イオンモバイルなど) |
100GB | 25,000円(docomo) ※家族で分け合えるプランの場合 |
設定なし |
※2017年6月26日現在の情報。料金については念のためご自身でご確認ください。
いかがでしょうか。どの通話プラン・インターネット(データ通信)を比べても格安スマホ(SIM)のほうが携帯大手三社よりも「格安」かつ「プランが豊富」であることが分かります。
プランが豊富ということは自分自身に最も適したプラン=最安のプランを選択できることと同じですので、相対的に「安いプラン」ということになります。
とはいっても「結局いくら安くなるのか分からない」と思った方もいますよね。
というわけで今度は、実際に格安スマホ界で人気NO.1とNO.2の「楽天モバイル」、「mineo」と携帯大手三社の比較をしていきたいと思います(実際に利用者が多いと想定されるプランを選択)。
①大手携帯会社が「標準」と設定してる場合(通話プラン:無制限、インターネットプラン:5GB/月)
携帯大手三社 (docomo、au、 ソフトバンク) |
楽天モバイル | 差額 | |
通話 プラン料金 |
3,000円 (ISP代300円含む) |
2,380円 | 620円 |
インターネット プラン料金 |
5,000円 | 2,150円 | 2,850円 |
合計 | - | - | 3,470円 |
②電話もネットもそこそこ利用する場合(通話プラン:5分間までの通話ならかけ放題、インターネットプラン:2(3)GB/月)
携帯大手三社 (docomo、au、 ソフトバンク) |
mineo | 差額 | |
通話 プラン料金 |
2,000円 (ISP代300円含む) |
850円 | 1,150円 |
インターネット プラン料金 |
3,500円 | 1,600円 | 1,900円 |
合計 | - | - | 3,050円 |
月に3,000円以上もの差が出てきます。
年間で36,000円もの差額になります。
どこまでも安さに追求しているのが、格安スマホ(SIM)の特徴ということですね。
これだけ聞くと「格安SIMってなんて素晴らしいの」と思う方もいることでしょう。
とはいえ何のデメリットもなしに甘い蜜は吸えません。しっかりとデメリットも知っておきましょう。
デメリット
さあ安くて素晴らしい格安SIMですがここでデメリットも紹介していきたいと思います。
①最新機種が使えない
まずはこれ。「どういうこと?」と思った方も多いはず。
解説していきたいと思います。
ここでいう最新機種とはiPhoneやXperia、Galaxyなどいわゆるハイエンドモデル(高品質な機種)のことを指します。分かりやすくiPhoneを例にしたいと思います。
まず現時点でのiPhoneの最新機種はiPhone7です。この機種を手に入れるには
- docomo、au、ソフトバンクの大手三社で購入する
- AppleストアなどのメーカーからSIMフリー端末を購入する
の2つの選択肢しかありません。
「1.docomo、au、ソフトバンクの大手三社で購入」するには、月々の契約(通話プランやインターネットのプラン)が必須になります。
格安SIMを使うにはSIMロック解除が必要ですが、そのためには購入から最短でも100日(docomoの場合。auやソフトバンクの場合は購入から6か月以上たっていないとSIMロック解除できない)の契約が必要になります。
まずこれが関門1。
さらに実際に格安SIMを場合は大手三社からは解約をすることになるかと思います(二重で月々の料金がかかってしまうため)。しかし、解約するには解約金が三社一律で10,260円かかってしまうのです。更新月の場合は解約金がかかりませんがこれも2年間の契約の後2か月間しかありません。中々更新のタイミングに合わせるのは難しいでしょう。これが関門2となります。
続いて最も金額面で影響があるのが、「端末購入補助費がなくなる」ことです。大手三社で携帯端末を購入する際に、「実質0円」といったような説明を受けたことがありませんか?
これは、「うちで契約してくれたら2年間かけて毎月の料金から端末代金分を割り引くよ」というサービスにより端末価格を安く見せている商売手法です。例えば端末代金が24,000円とすると24か月間毎月の携帯利用料から1,000円割引きます。合計の割引額が24,000円となるので、端末代金が実質0円となるわけです。※最近では総務省からの指摘があり、実質0円ほどの割引はできなくなりました。
このサービス名をdocomoでは月々サポート、auでは毎月割、ソフトバンクでは月々割と言います。一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
このサービスは途中で解約してしまうと、その後の割引は受けられません(先ほどの例を使うと、購入後6か月後に解約すると残りの18か月間(18,000円)は割引が受けられません。しかも実際には最新機種のスマホは約10万円することがざらです)。
24か月間にかけて割り引くというのがやっかいで、結局2年間の契約を続けてほしいキャリアからの縛りの一つですね。これが関門3。
これでは「1.docomo、au、ソフトバンクの大手三社で購入」した場合、格安SIMに乗り換えるだけで数万円かかってしまいますね。
続いて「2.AppleストアなどのメーカーからSIMフリー端末を購入」した場合ですが、こちらは大手三社との契約がない分、SIMロック解除や解約金といった手間がないのがメリットです。ただし、大手三社ではもらえていた「月々の端末購入補助費がない」のが大きなデメリットです。
例としてSIMフリー版iPhone7の値段を確認すると、、
- 32GB→72,800円、128GB→83,800円、256GB→94,800円(2017年8月11日現在)
一番安い容量32GBでも税別72,800円!月々の料金を抑えたくて格安SIMにしたいのに、これでは本末店頭です。
簡単にまとめます。
<docomo、au、ソフトバンクの大手三社で最新機種を購入した場合>
- SIMロック解除のために最低100日間の契約が必須
- 解約金10,260円がかかる
- 携帯端末の端末購入補助費がなくなる
<Appleストアなどのメーカーから最新機種のSIMフリー端末を購入した場合>
- 端末購入補助がないため割引ができず、高額な携帯端末の購入が必要
以上が、格安SIMを利用する場合最新機種が使えない理由です。
②回線が混み合う時間帯・場所でのインターネットの通信速度が弱い(遅い)
続いての格安SIMのデメリットです。
仕事柄、格安SIMを使用している同僚が複数名いるのですが皆口を揃えて言うのが「通信速度が遅い」という点。主に、通勤中や昼休みの時間帯がどうしても遅く感じるとのこと。
具体的には
- YOUTUBEなどの動画や音楽のストリーミング再生
- Facebookの写真やGOOGLEなどの検索(広告などが張られているため)
逆に、軽いデータ量のやり取りで済むLINEなどは特に問題がないようです。
そもそも格安SIMの仕組みについては前回記事でも解説しましたが、格安SIMは大手三社から通信回線の一部を買い取り、それを提供しております。当然買い取れる量にも限界があるため、理論上格安SIM利用者が増えれば増えるほど、回線はパンクしていきます(勿論相応の対策はうつとは思いますが。。)。
混み合う時間帯にあまり使わない方やスマホで動画などをあまり見ない方でないと、通信速度が遅いのは大きなデメリットになりますね。
③アフターサービスが手薄
格安SIMにはdocomoショップのようなキャリアショップをほとんど設けていません。
原則は「インターネットで申し込み」になってきます。
そのため何かあった際の人による対面でのアフターサポートは手薄になってきます。
操作説明はもちろん、故障時の修理依頼や各種手続きは自分自身で行う必要があります。人件費を削ってその分料金に還元しているサービスなので仕方ないといえば仕方ないですね。。
④キャリアサービスが使えない
キャリアサービスとは大手三社が独自で提供しているサービスのこと。
代表例としてポイント制度(docomoの「dポイント」やauの「au WALLETポイント」など)とキャリアメール(docomoの「~@docomo.ne.jp」、auの「~@ezweb.ne.jp」、ソフトバンクの「~@softbank.ne.jp」)が利用できなくなる点が挙げられます。
ただ、「ポイント制度」については格安SIMによって月々の料金が安くなることのほうが重要ですし、「キャリアメール」については通信手段としてLINEが主流になっているため個人的には大きなデメリットではないと思います。
以上4点が格安SIMによるデメリットでした。
「まとめ」と「格安スマホ(SIM)をおすすめしたい人のポイント」
メリット
- 大手三社に比べて月々3,000円以上安い
デメリット
- 最新機種が使えない
- 回線が混み合う時間帯・場所でのインターネットの通信速度が弱い(遅い)
- アフターサービスが手薄
- キャリアサービス使えない
格安スマホSIMをおすすめしたい人のポイント
以上のメリットデメリットを踏まえると、格安スマホ(SIM)をおすすめできる人、利用したほうがお得な人のポイントは
- スマホの機種に拘らない人(ある程度の機種で満足できる人)
- スマホの主な役割が電話とLINEの人(外で動画や音楽、そもそもインターネットをあまり使わない)
- 人に聞かなくてもある程度、自分度自身で操作や契約について把握している人
- とにかく安さのみに拘りたい人
ここまで格安スマホ(SIM)について解説してきましたが、僕自身は格安SIMを使っておりませんし、格安SIMを使う予定もありません。
最新機種や、不満のないインターネット通信速度に拘りたいのはもちろんですが大手三社でもしっかりと調べれば月々4,000円~5000円ほどですんでしまうからです。
※そのことについての詳細は以下記事を参照
皆さんもしっかりと吟味して、自分ご自身にあった携帯を使いましょう!
長文をお読みいただきありがとうございました。